床暖WEB
 
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  床暖房の基礎知識  
 
 
  床暖房は今や住設機器の中で採用してみたいシステムNo.1になりました。それに伴い床暖房を扱うメーカーやエネルギー会社、施工会社も多くなり、それぞれが各社の特徴を誇張するあまり、私たち専門業者でさえも理解に苦しむ表示や表記がなされています。まして消費者のみなさんは床暖房選定に関し、情報の多さ故に困惑の度合いを深めることになってまいりました。このホームページは今一度私たちが知る限りの床暖房情報を具体的に整理しなおし、消費者の皆様方にとってベストの選択ができることを願い、このサイトを立ち上げました。随時、情報を発信させて頂く所存でございます。少しでもみなさまのお役に立てれば幸いです。
 
  床暖房の普及は近年目覚ましいものがあります。一般の人に広まったのは1998年頃からのことなのですが、歴史的には古く、古代ギリシャ帝国では温泉熱を利用した床暖房があったことが最近発見されましたし、中国においては三千年前から干し草の煙を床下に通し暖をとるシステム「かん」として庶民に愛用されていました。お隣の韓国の煮炊きに生じる熱を利用する「オンドル」はあまりにも有名です。日本では、世界的建築家である故フランク・ロイド・ライト氏の設計された旧帝国ホテルのオンドルの間が始めて一般に公開されました。
 
 
  気体や液体が温まると比重が軽くなり上昇していきます。逆に、冷たくなると比重が重くなり、下に沈んでいくといった性質をもっています。
この原理を私たちが普段使用している暖房器具に当てはめてみるとよくご理解いただけると思います。

『強制対流方式』 
エアコンやファンストーブに代表されるようにファンにて風を強制的に起こし、暖めた空気を部屋中に拡散する暖房方式です。利点としては早く部屋の温度を立ち上げることができるのですが、欠点とし、風を伴うため空気の温度が27度前後ないと暖かく感じなかったり、埃が舞いやすく部屋が乾燥しやすいなどの問題点もあります。また、長時間使用した場合でも対流式の最大の欠点とし、いつまでたっても足元が暖まらないなどのケースが上げられます。

『自然対流方式』 
だるまストーブ・囲炉裏・暖炉・薪ストーブに代表される暖房器具です。この方式はファンによる風を用いず、発熱体そのものを高温にしてそこから発せられる熱により自然におこる対流を利用した方式です。利点とし、aと比べ風を伴わないため埃が舞いにくく乾燥しにくいことや赤外線の効果もあり自然な暖房感が得られやすいのですが、欠点は足元を十分に暖めるには限界があります。
 
 

熱は常に高いほうから低いほうへ伝わる性質を持っています。

例えば湯たんぽ、カイロ、電気毛布、電気カーペット等がこれらの原理を利用した、身の回りにある暖房器具です。風邪をひいたときに使う氷枕などはこの原理を逆に利用したものです。


この原理の欠点は常に発熱体に直接触れていなければ、その効果は得られないことです。余談ですが、断熱材の上に寝転んだりしていると、断熱材により人間からの熱移動が阻止されるため、あたかも断熱材自体が熱を持っているかのように錯覚するのはこの一例です。最近では、この原理を利用したユニットバスなどが商品化されています。

 
  この原理は熱の伝わり方というよりは、熱の奪われ方と表現したほうが正確かもしれません。激しいスポーツや重労働で体温が上昇すると、その汗が蒸発する時に体の熱を奪ってくれる現象や真夏の路地に打ち水をすることにより路面の温度を下げたり、冷たい水で濡らしたシャツを着て扇風機を回すと非常に涼しくなる現象などをさします。

ここで注目しなければならない共通の現象として、蒸発には必ず空気の対流(微風)が伴うということです。

風が1秒間に0.6m増す毎に体感温度は1度下がるといわれています。
 
 

温度がある物体は、必ずその温度に応じた熱線という光を放射しています。(赤外線)
その光によって空気を介さず直接物体を暖めたり、冷やしたりする方式を放射冷暖房などと呼びます。

例えば、よく引き合いに出される現象として、太陽があんなに遠くにあるのに何故暖かいのかという疑問は、この原理の赤外線効果にあるのです。赤外線は衣類などを通過し人間の皮膚から吸収され、皮膚の奥にある温点を直接刺激するため暖かく感じるのです。床暖房はその光の性質を利用した暖房です。

放射暖房はある波長をもった「光の一種」であることを認識願いたいと思います。この光は周波数が短い長いによってテレビ放送やラジオ放送に利用されています。また、X線、α線などもこの一種です。

人が感じる快適さは室内の空気温度よりも、床・壁等の赤外線の放射量に大きく関係しているのだと多くの学者たちが認め始めています。例えば、床の温度を28度くらいに上げても、壁・天井が冷たければそこから放出される冷放射によって冷たくまた寒く感じてしまいます。



赤外線の量はその物体の温度、質量に比例すると考えられています。身近な例では、良い暖炉と悪い暖炉の違いは暖炉を構成する鋳鉄の質量にあるといわれています。電気カーペットの場合、表面温度が相当高いのに床暖房のように暖かく感じにくいのは、赤外線を放出するための仕上げ材がないためにおきる最たる例かもしれません。また、表面温度が同じなのに畳仕上げの場合とセラミック仕上げの場合とでは大きな体感温度の差があるのも質量による作用だと考えられます。

床暖房が光であるということを納得せざるを得ない経験として、3面ガラス張りの室内では他の床暖房の部屋よりも相当暖かく感じるとの報告をいただいております。
最近遠赤外線利用を謳い文句とした床暖房パネルがぞくぞくと市場に出回り、あたかもこの商品のみが遠赤外線を出すのだという言い回し方で販売されておりますが、なにもそれらに限って遠赤外線を放出しているのではなく、量の差こそあれ身の回りのすべてのものが赤外線を出しているのです。仕上げ材によりその量・質が変わるのです。
 
 
 

床暖房が何故このように快適なのかは、床から発せられる放射熱、床から足元へ伝わる伝導熱、床を暖めることによって生じる微風を伴う自然対流熱、および床から放射された光が部屋の中の壁や天井に乱反射し部屋の中を飛び回るうちに、天井・壁を暖め、そこから発せられる2次放射熱により室内温度の均一化をもたらすからだと考えられます。

対流、伝導、蒸発、放射の相乗効果を利用したものが、
床暖房の正体なのです。



我々は床暖房の使用時になるべく低温で長時間使用していただけるようお願いしているのは、最もこの状態が床暖房の効果を発揮しやすいことに他ならないからです。ただし、これが理想の使い方かもしれませんが、建物の用途・目的や建築主のライフスタイルにより、必ずしもこのような使用することができない場合もあります。床暖房とは一言で空気を暖めることを目的とするのではなく、太陽光のように放射熱により人や物や植物などを直接暖め、しかも省エネルギーが実現でき、歴史のある究極の人に優しい地球に優しい環境型暖房設備なのです。