熱は常に高いほうから低いほうへ伝わる性質を持っています。 例えば湯たんぽ、カイロ、電気毛布、電気カーペット等がこれらの原理を利用した、身の回りにある暖房器具です。風邪をひいたときに使う氷枕などはこの原理を逆に利用したものです。 この原理の欠点は常に発熱体に直接触れていなければ、その効果は得られないことです。余談ですが、断熱材の上に寝転んだりしていると、断熱材により人間からの熱移動が阻止されるため、あたかも断熱材自体が熱を持っているかのように錯覚するのはこの一例です。最近では、この原理を利用したユニットバスなどが商品化されています。
温度がある物体は、必ずその温度に応じた熱線という光を放射しています。(赤外線) その光によって空気を介さず直接物体を暖めたり、冷やしたりする方式を放射冷暖房などと呼びます。 例えば、よく引き合いに出される現象として、太陽があんなに遠くにあるのに何故暖かいのかという疑問は、この原理の赤外線効果にあるのです。赤外線は衣類などを通過し人間の皮膚から吸収され、皮膚の奥にある温点を直接刺激するため暖かく感じるのです。床暖房はその光の性質を利用した暖房です。 放射暖房はある波長をもった「光の一種」であることを認識願いたいと思います。この光は周波数が短い長いによってテレビ放送やラジオ放送に利用されています。また、X線、α線などもこの一種です。 人が感じる快適さは室内の空気温度よりも、床・壁等の赤外線の放射量に大きく関係しているのだと多くの学者たちが認め始めています。例えば、床の温度を28度くらいに上げても、壁・天井が冷たければそこから放出される冷放射によって冷たくまた寒く感じてしまいます。
床暖房が何故このように快適なのかは、床から発せられる放射熱、床から足元へ伝わる伝導熱、床を暖めることによって生じる微風を伴う自然対流熱、および床から放射された光が部屋の中の壁や天井に乱反射し部屋の中を飛び回るうちに、天井・壁を暖め、そこから発せられる2次放射熱により室内温度の均一化をもたらすからだと考えられます。 対流、伝導、蒸発、放射の相乗効果を利用したものが、 床暖房の正体なのです。